人気ブログランキング | 話題のタグを見る

『ハッピー・バースディ』新井素子

角川文庫

相変わらず「嫌な物語」を書かせたらピカイチというか、なんというか。

「ある程度年のいった男性同士」の会話の不自然さも相変わらず、なのだが。逆に
あえて不自然な会話によって、これがフィクションであることを強調しているのか、
なんて考えもしてみたりする。
いやいやそれにしたって、恐らく30代近くの男性が会話中に「あうう」とか
言いますかって…。

しかしこの物語の中で一番「悪い」人間、それは間違いなく公人だろう。
理由は簡単、○○でしまったから。もちろんそれは本人が望んでの結果ではないけれど
それでも結局公人が○○でしまわなかったら、あきらはあんな状態にはならなかった。
将来的には、例えば公人の言う通りあきらがもっと現実に生きることができるように
なってからならともかく、そうでない今、公人は何が何でも○○ではいけなかった。

そして、裕司のお母さん。これ、ちょっと身に詰まされる…。
自分も善意の押しつけ、してないかを振り返ってみたり。

ところで最後の、机の中から出てきたもの、って一体なんだったの?
あきらにとってどんな「見せたくないもの」だったのか、気になるよね…

で、処女作はどんな話だったんだ?、度 ★★★★☆
by happiness_riki | 2005-11-23 23:49 | *読書記録 作家あ行