人気ブログランキング | 話題のタグを見る

『人の砂漠』沢木耕太郎

新潮文庫

深夜特急シリーズが有名な作家さんだが、読むのはこれが初めて。
そして読み始めたのは実に数年前という……

短編のルポ集なのだが、その1作目「おばあさんが死んだ」という作品の内容を
何かで知り、それを読みたいと入手したのでその作品以外にはあまり興味が持てず
なんとなく放置してしまっていた。
大御所といって差し支えのない作者さんが「ニュージャーナリズムの若き担い手」と
紹介されてるくらいの古い本なので(文庫の初版が昭和55年)、扱っている内容も
かなり古くなかなか読むのに難航した。

最初に言ったようにこの作家さんの作品というかルポルタージュを読むのが初めてなので
こういう書き方が特徴なのか、それとも若い頃の作品ゆえなのかわからないのだが、
一つのテーマの中で複数の人物を取り上げているものが非常に読みにくかった。
最初にある人物の話をし、その後別の人物の話にうつり、また突然最初の人物の話に
戻ったりと、まぁ別に書き方が変というわけでもないのだけど、何故かすごく唐突に
話が切り替わった印象を受けてしまった。
私があまり興味がない分野のルポだったせいかもしれないけれど、人のつながりの
劇的な部分などはもう少しわかりやすくできたんじゃないかと思ってしまう

とはいえ、興味がない分野でも難航しながらもそれなりに面白くは読めた。
最後に収録されている「鏡の調書」もどこかで聞いた覚えがあるような気がする事件で
これも興味深く読むことができた。

ただとにかく1作目の「おばあさんが死んだ」のインパクトはすごい。

# by happiness_riki | 2024-01-16 04:43 | *読書記録 作家さ行

『鵼の碑』京極夏彦

講談社ノベルス

17年ぶりに彼らが帰ってくる!
もうすっかり続編を諦めていたのでその知らせは本当に衝撃だった。
京極先生がもう設定を忘れたと言っていたとかいう話をどこかで見た気もしたし。

そんなわけで発売日にウキウキして買ったのに、その久々な厚さについ尻込みしてしまったが
ようやく読みました!

この作品をいつから執筆していたのかは知る由もないけれど、北朝鮮からミサイルが飛んできたり
ロシアとウクライナの戦争が起きていたりするこの時代に出たことに何か意味があるのかと
つい思いたくなってしまうけれど、構想自体は17年前から考えてたのかもしれないし……
まぁその辺は考えても仕方がない

ただとにかく読むのには苦労した。
重い(物理的に)というのもあるけど、こういう構成の作品って苦手……
章ごとに追っている謎は変わるのに、それが少しずつ重なって──ってまさにそこが面白いわけではあるけど
あるんだけど、チラッと出てきた名前が別の章でも出てくると「誰だっけ?!」ってすぐなるので……

今作は出てくる人物自体はそんなに多いわけじゃないんだけど、寒川さんと笹村さんみたいな同じさ行の
名前が出てきて音で混同してしまった……字面では全然違うんだけど多分私が頭の中で音読してるんだろうな。

以下はネタバレでもないけど、まぁ情報を知りたくない人もいるであろうということで配慮


More
# by happiness_riki | 2023-11-24 05:05 | *読書記録 作家か行
講談社文庫

好みという点を差し引けば、やはり日本推理作家協会が選出しただけあって
一定の水準は満たしている作品ばかりだと思う
(超偉そうw)

好みだった作品は
・偽りの春
・ただ、運が悪かっただけ

苦手な作品は
・階段室の女王

階段室の女王に関しては単純に自分のエゴが招いた誤解を解くことができないことのイライラ感が苦手。
基本的に「本当のことを言ってるのに信じてもらえない」系の作品は苦手なので、本当に相性の問題

我孫子さんの作品は以前に別の短編集で読んでいた
宮部さんの作品も面白く読めたけど、ミステリーというよりファンタジーだよなという印象だった

最近は読書ペースが落ちているので、短編集の方が読みやすいといえば読みやすいのだけど
逆に1編読んじゃえば先が気になるということもない分、次の作品を読み始めるまでにかなり
放置してしまうこともあるので一長一短

# by happiness_riki | 2023-11-19 18:07 | *読書記録 作家な行
河出文庫

都筑さんといえばなめくじ長屋シリーズが有名なのかもしれないが、個人的にはショートショートに思い入れがある。

何がきっかけで購入したのかは忘れたが、25階の窓という短編集(ショートショート集)で一編、ものすごく
印象に残った作品があり、そこからショートショートの作品集をずいぶん集めた。

今作は全部ではないが、単行本に収録されていなかった作品などを集めた短編集。

当然ながら書かれた時代が古いので作品全体に古さを感じてしまうし、細かいところはどうでもいいんだよ的な、
今の時代に書いたものならそもそもボツになったのではなかろうかというような、つまりぶっちゃけあまり
面白くない作品もある(もちろん個人の感想です!)。
まぁ単行本に収録されなかったのってそういう意味だよね、みたいな。

ただやはり発想の豊かさは感じられる。
細かいところはどうでもいいんだよが通ってしまうこの時代に書かれた作品だからこその内容というか。

真面目に読んだら「そんなわけあるかよ!」ってなってしまうのは確かなんだけれど。

好きだった作品も今読み返したら同じような印象を抱くのかなって思うと、それはちょっと悲しい気がする。

# by happiness_riki | 2023-11-19 17:52 | *読書記録 作家た行

『涙香迷宮』竹本健治

講談社

このミスで1位を取った時にハードカバーで購入
しかしそのまま寝かせに寝かせ、文庫本が出てしまっても寝かせ続け…
発行されたのが2016年、ようやく読むことができた

さすが竹本健治って感じの暗号ミステリだった。
まぁ暗号部分は起きる事件とは直接関わらないし、なんというか素人が簡単に
溶けるようなものではないので、ただ「ほう」と読んでいれば大丈夫
っていうか「ほう」と読んでいてもよくわからない(笑)

主に文庫でとはいえ、わりとしっかり追っかけている方だと思うんだけど
覚えがない作品は文庫化がまだなのか、眼にする機会がなかったのか……
近くにあるような小さい本屋では、というかある程度大きい本屋でも
発売された時期を逃すと店頭ではまず見かけないって本はたくさんあるからな

ところでいつの間に智久と類子はくっついたの……?
多分牧場智久のシリーズはちゃんと読んでると思うんだけどなぁ……
っていうか私は類子があまり好きじゃないので(特に初めて登場した頃)
うーんとなってしまう

っていうか類子って智久のお姉さんとちょっと似たタイプな気がするな…シスコン?

ウロボロスシリーズも最終部は未読だし、でも読むなら最初から読みたい気はするし
生きてる間に読めるかなー

# by happiness_riki | 2023-08-09 01:01 | *読書記録 作家た行