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『新耳袋 現代百物語 第一夜』木原浩勝・中山市朗

角川文庫 再読

夏ですから。再読です。

この巻の中で一番印象に残っている話は地下室の下の部屋。
誰が何のために、とかそういうのも当然気になるのだが。

誰にも認識されずにあったものは、はたして本当にそこに存在していたのであろうか?

認識論っていうんだろうか?
山奥の、誰も聞いていない木の倒れる音という例が妙に印象に残っているのだが
(それを何で読んだのかが思い出せない……)
例でいえば「誰も聞いていない、つまり誰も認識していない音は本当に存在したと
いえるのだろうか」ということ。

みつかったのだからあったのだろう、というのでは答えにならない。
何故なら誰もそれがあったことを認識していなかったのだから。

といっても別にそれがある日突然何もなかったところに現れたのかもしれないとか
そんな可能性を持ち出したいわけではない。

ただ百年以上誰にも知られることなく、認識されることなくそこにあったであろう空間。
その「認識すらされずに存在する空間」というのを考えるとぞっとする。

なんかうまく言えないけれど、確かめることのできないその空間の存在というのが
あまりにも気持ち悪くて、印象に残っている。
by happiness_riki | 2008-08-22 22:47 | *読書記録 作家か行