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『砂漠の悪魔』近藤史恵

講談社文庫

思いついたエピソード(テーマ)が、それぞれだけでは長編1本書くのに
弱かった(膨らませられなかった)のか、もしくは長編ネタが出てこないので
ストックのエピソードをまとめたのか、強引にまとめちゃった感じが強かった。

大きく分けてエピソードは3つ。

・自分の卑劣な行為で友人が自殺
・弱みを握られてヤクザの使い走りをさせられる、からの逃走劇
・中国の人種問題からの砂漠の悪魔

最初のふたつはまぁ、まだ繋がりとして不自然ではないんだけど
最後のは話に奥行きを持たせるという点では成功してるのだが
(主人公の価値観を変えるとかね)
それがオチになっちゃって、前ふたつで散々心配していた両親のこととか
友人や恋人のことが宙ぶらりんに終わってしまっていると思う。

それとも、最後のエピソードを書くために日本人の主人公を砂漠へ行かせるには、
何かから逃亡でもしない限り、そんな逃亡するような事情はヤクザ絡みとか、
平凡な主人公がヤクザと関わるような事態は……的な逆算構成なのか。

私はミステリを主に読んでいるせいか、どうしても話にちゃんと解決を
求めがちなのは認める。で、ミステリではない物語には必ずしも解決をせず
「オレたちの冒険はこれからだ」的な終わり方をするモノがあるというのも
わかってはいる。
(別にそれが悪いと言いたいわけではない)
でもそれにしたってスッキリしない、唐突な終わり方に思えて仕方ない。
by happiness_riki | 2016-01-10 18:42 | *読書記録 作家か行