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『レテの支流』早瀬乱

角川ホラー文庫

自分の、かつての栄光の記憶を消したことから始まる不可思議な現象。
てっきり「こういうことかな?」と思っていたことと違っていて、それがまた
面白く。
かなり楽しく読めた作品。

なのだが、以下は激しくネタバレなので注意。

最後、あそこまで事態が大きくなるってのは、やりすぎな感じが。途中までが
比較的堅実に進んでいただけに、ちょっと、とんでもなさすぎ。確かにあそこまで
事態が進まないと、周りの人がその現象を認めないだろうし、最後にやろうとして
いることにも協力なんてしてくれないだろうが、ならば復活する、しない辺りで
終わらせちゃってもよかったのでは? アイデアが面白かっただけに残念

ちなみに私が「こういうことかな?」と思ったのは、記憶というのはそれ単品で
あるものではないから(色々な記憶がからみ合っているものだから)、栄光の
記憶だけを消したつもりが、それに関連した他の記憶も消されてしまっており、
消したくなかった大事な記憶まで穴が開いていることに気付いた主人公ががく然と
して…ウンヌンみたいな。

何にしても、過去振り返ってみれば誰にだって、なかったことにしてしまいたい、
忘れてしまいたい出来事なんてあるものだけど、自分の記憶から消したところで
それがあったという事実まで消えるわけじゃないのだから、病気とかの場合は
ともかく、普通に生きていられる限りは記憶なんて消すものじゃないってことだ。

しかし一番可哀想なのは恵美だ、度 ★★★☆☆
by happiness_riki | 2004-12-01 01:12 | *読書記録 作家は行